[戻る]

最終更新日 2006年3月21日

愛読書

毎月そこそこの数の書籍を購入するのですが、「本棚を増やさない」というのが私の生活指針の一つでして、したがってその大部分は読み終わったあとで(本によっては読み終わらなくても)ゴミ箱かamazonマーケットプレイスに直行させています。そんな事をずっと続けておりましたので、私の本棚には繰り返しの読書に耐えうる書籍のみが残りました。以下のリストは、そこから広く推薦できる本を選りすぐったものです。

それぞれのタイトルの脇にある[購入]ボタンはamazon.co.jpの販売ページにリンクしています。そしてそのまま購入していただきますと、売価の5%が私に振り込まれる仕掛けになっております。ですので御購入の際には、投げ銭の感覚で、こちらのページを使って頂ければ大変幸いに存じます。もちろん購入者さまの個人情報は私には伝わりませんので御安心を。なお、ここで紹介している書籍を複数購入の際には、最初に購入する本をamazon.co.jpのカートに入れた後、ブラウザの「戻る」ボタンで、このページまで戻り、そして次に購入する書籍の[購入]ボタンを押すという手順を繰り返していただけばOKです。

サーチ:
Amazon.co.jpアソシエイト


[文学]  [ノンフィクション]  [生活・文化]  [進化生物学]  [社会科学・政治]  [作文・プレゼン]  [知人] 

Top↑

文学

亡国のイージス〈上〉〈下〉 福井晴敏 [購入] [購入]
この著者の作品の特徴として、主要登場人物の全員が何らかの辛い過去を引きずっているのですが、そういう底を流れる暗ささえ気にならなければ、小説がなし得る最高のエンターテイメントだと思います。目の前に情景が浮かぶかのような圧倒的な描写力、二転三転するストーリー、徹底的な取材に基づくリアリティー、そして個性的な登場人物。一度読み始めると中断するのがマジで困難。これだけの小説家が若い世代から出てきた事に、喜びを覚えます。

ワイルド・ソウル 垣根 涼介 [購入]
ブラジル移民の子孫が、移民一世の恨みを晴らすために外務省を襲撃する、ってな話。話の展開や人物の設定もよく練られてるし、ドロドロした話ながらも読後感は爽快でスカッとします。さらに、戦後に日本国政府が国民に対して行った移民政策(事実上の棄民政策で、詐欺的な行為もあった)を痛烈に指摘するというといった社会性も持っていて、単なる娯楽小説に留まらない硬派な側面もあったりします。ブラジル移民というと成功した方の話を聞く機会が多いですが、”緑の地獄”で悶え苦しんで、家族丸ごとジャングルの泥になってしまったという悲惨な例も多かったんですね。

ヒトラーの防具〈上〉〈下〉 帚木蓬生 [購入] [購入]
駐在武官補佐官としてベルリンに派遣された日独混血の青年が主人公。三国同盟の成立で上巻が終わり、ベルリン陥落で下巻が終わる、そういった激動の時代のドイツをエリート軍人の冷徹な視線で見つめます。この手の歴史小説って予め歴史の流れを知っているだけに、ある程度まで先が見えてしまうものなのですが、それでも読ませるだけの緻密かつテンポの良い筆運びには唸らせられました。また、フィクションとしても一級ですが、当時の国際政治状況の変化、加害者としてのドイツ第三帝国、ベルリン陥落に伴うソ連軍の暴虐、等々の歴史を学ぶにもお勧めの一冊。

プラハの春〈上〉〈下〉  春江一也 [購入] [購入]

龍の仮面(ペルソナ) 佐々木敏 [購入]
CIAの女工作員と中国政治エリートとの間の国際ラブサスペンス。うわぁ書いていて恥ずかしい、というわけで、小説そのもののプロットは凡庸なのですが、著者の現在中国に対する豊富な知識と鋭い分析力に圧倒されます。いうなれば小説界の「美味しんぼ」(?)。中国の経済的発展が、実はかなり危うい政治的基盤の元に成立している事がよ〜く分かります。ブームに浮かれて中国関連株を買い求める前に、せひご一読を。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉〈下〉 村上春樹 [購入] [購入]
2つの物語が独立に進行していき、やがて両者が少しずつシンクロしてくるという実験的な手法を取り入れながらも、完成度の極めて高い作品。村上春樹の小説は、最初期の作品は青臭いし、最近の作品はヤヤコシくて読後感がいまいちというわけで、この時期の作品が一番面白く感じます。その中でも「世界の終わりと‥」は恐らく最高傑作。「村上春樹は作品が多くてどれから読んで良いのか分からない」という方には、この作品をお勧めいたします。

幽霊塔 江戸川乱歩 [購入]

タイム・マシン 他九篇 ウエルズ著/橋本槇矩 訳 [購入]

眠り島 別役実 [購入]
5万6千人もの昏睡病患者を収容した眠り島に、「ハンディキャップ」として預けられたバセドー氏病のキリンを連れて人捜しに渡る、というイカレタ童話(?)です。静かで、飄々としていて、しかし残酷な別役の世界のエッセンスを味わう事が出来ます。著者は僕の敬愛する戯曲作家でして、この人の世界を知るには、やはり芝居を観て頂くのが一番なのですが、それを手軽に書籍でのぞき見るのに最適な本を一冊選ぶとしたら、迷うことなくこれを選びます。いや、多くの著書がある方なのですが、読んでいてイライラするようなのも多いのです。で、もしこの人の戯曲にも興味を持って頂きましたら「ジョバンニの父への旅 別役実戯曲集」 [購入] をオススメいたします。3本の戯曲が掲載されているのですが、その全てが名作だと思います。


Top↑

ノンフィクション

史上最大の作戦 コーネリアス・ライアン著/広瀬順弘 訳 [購入]
第二次世界大戦において連合軍側反撃の切欠となったノルマンディ上陸作戦。この本は、その史上最大の戦いを記述した戦記物語の金字塔です。その最大の特徴は、新聞記者であった著者が、戦闘に関わった様々な人々との間で膨大な面接を行い、立体的な観点からこの戦闘を記述している点にあります。連合軍の兵士達、彼らを迎え撃ったドイツ軍の兵士達、苦悩する戦争指導者、戦闘に巻き込まれた市民達。「ノルマンディ上陸作戦」という歴史の大転換点に立ち会った、多くの人生の断面が鮮やかに浮き上がります。

アポロ13 ジム ラベル, ジェフリー クルーガー著/河合裕訳 [購入]
宇宙船の原因不明の故障により、月着陸のミッションが不可能になったばかりではなく、宇宙空間に3名の宇宙飛行士が取り残されてしまった。地球から誰よりも遠い場所に身を置き、物理的な支援は一切不可能な状況下で、地上スタッフと宇宙飛行士との間で生還を巡る闘いが始まる。本書は同名の映画の原作ですが、映画よりもはるかに面白く一気に読み終えます。

マイコン少年さわやか漂流記 クーロン黒沢 [購入]
マイコン少年と呼ばれ、ゲームのコピーに青春時代を費やしてしまった著者(現在プノンペン市在住)の半生記。「そうそうハンドピックは当初は最強のコピーツールだったんだよね」などと、今では一ミリの役にも立たない蘊蓄が懐かしく、同じような暗い青春時代を送った30代前半の方々にとっては胸が切なくなります。というわけで広く一般にオススメできる本ではないのですが、僕自身の裏青春の記念として紹介させていただきます。ちなみに、この著者の文章には独特な味わいと勢いによる中毒性がありまして、実は僕もくだけた文章を書くときには文体を少し参考にさせてもらっています。

コンチキ号漂流記 ハイエルダール著/神宮輝夫訳 [購入]
南太平洋ポリネシアの住人は南米ペルーから筏で渡ってきた、とする学説を証明するために、当時の筏を再現し、貿易風と南赤道海流に乗って太平洋を渡った記録。実は小学生高学年向きの本なので色気はないのですが、三十路越えた今読んでも冒険心をかき立てられる一冊です。特に、航海中に次々と遭遇する不思議な海洋生物との遭遇談が、実に印象深いです。「かじ番が海中を見て、ぼんやりとひかる大きなものをみつけた。しばらく見ているうちに、それは、大きな生物だとわかった」「じっと見ていると、その怪物は、まるくなったり、たまご型になったり、三角形になったりした」「この怪物は、ひかってみえるところだけでも、九メートル以上もあるしろものだった。そしていつまでもいかだについてきた」。こいつの正体なんだと思います?こういうの読んでいるとゾクゾク、ワクワクしてきます。

漂流 吉村昭 [購入]
鎖国時代の船乗りの漂流記。数多く読んだ漂流記の中で、僕はこの作品が一番好きです。話の概要はリンク先に譲るとして、人間どのような状況に身を置かれても、希望と冷静ささえ失わなければベストを尽くすことができるのだと、感じ入らずにはいられない一冊です。著者の吉村昭は、この手の歴史小説の大家でして、気負わずに淡々とディテールを述べながらも、不思議と蘊蓄臭くないという文体が素晴らしいです。この方の別の著書としては「零式戦闘機」[購入]も併せてお勧めいたします。


Top↑

生活・文化

ひと月9000円の快適食生活 魚柄 仁之助 [購入]
決して耐乏生活の指南書ではありません。むしろ、いかに美味しく、賢く、手軽に、健康的な食生活を送るのかについての、著者の哲学と膨大なノウハウを集めた一冊でして、ひと月9000円というのは単なる副産物。普通、男の料理というと、材料からスパイスまで完璧に揃えて手順通りに作り、後には半端な材料が山のように残るというプラモデル感覚のモノが多いのですが、この人の料理はまさにその対極です。長い独り暮らしから編み出された料理や調理手順には、思わず唸るようなものも多く、とにかく密度の濃いお得な本。紹介されているレシピや手法については、僕も日常的に使っています。但し、ハッキリ言って文章は上手ではなく、特に文中の至る所に散りばめられたオヤジギャグには、生理的嫌悪感を抱かずにはおれません。


Top↑

進化生物学

生物はなぜ進化するのか ジョージ C ウィリアムズド著/長谷川 真理子 訳 [購入]
日本語で読める進化学の入門書としては多分これがベスト。生物の進化を説明する3本の柱、すなわち「自然選択」「系統的制約」「遺伝子浮動」のうち、前者2つが平易かつ的確に説明されています。ちなみに、進化生物学の入門書というのは沢山ありまして、しかも次々と新刊が刊行される分野なのですが、その中には多くのトンデモ本も含まれているので注意しなければなりません。特に、センセーショナルな帯がついていたり(ダーウィンは間違っていた!とか)、あと文学部哲学科のセンセイが書かれたり推薦を出していたり、それから'今西某'という名前が見受けられる本は、「月刊ムー」とさして変わらないと考えて良いでしょう。

生き物の進化ゲーム 進化生態学最前線 生物の不思議を解く 酒井聡樹, 近雅博, 高田壮則 [購入]
生物の進化について、もう少し突っ込んだ勉強したい方には、この本をお薦めいたします。ESS、性淘汰、包括適応度、ゲーム理論といった、自然選択から派生してくる諸概念の基礎をつかむ事が出来ます。自然選択という極めて単純な仕組みが実際の生物群集で働いた場合、実に多様で複雑な関係が生じる事に驚かれるでしょう。基本的に理論の本ではありますが、数式は最小限に抑えられていますので、大学教養学部程度のレベルで十分に読みこなせると思います。


Top↑

社会科学・政治

銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎〈上巻〉〈下巻〉 ジャレド ダイアモンド著/倉骨彰 訳 [購入] [購入]
1万3000年前、同じような条件でスタートしたはずの人間が、今では一部の人種や文明が圧倒的優位を誇っているのはなぜか。なぜ旧世界の文明が新世界の文明を滅ぼし、その逆にはならなかったのか。著者は、その理由は人種間の能力差にあるのではなくて、地形や動植物相を含めた「環境」にあると主張しています。、、でも常識的に考えて、人種間には身体能力や各種の知的能力において明かな遺伝的な差があるはずなのに、それを完全に無視して論を進めている部分が少し偽善臭いです。まあアメリカ在住の大学教員に、そこまで要求するのは酷かもしれませんが。とはいうものの、著者の主張には説得力があり、真理の一端は確実に含まれていると思います。それなりに長くて堅苦しい本ですし論理展開もくどいので、一気に読み終わるというわけには行きませんが、文明や文化の成り立ちに興味を持つ人にとっては必読の名著です。

なお、作者のダイアモンド博士は進化生物学者でして、その彼の専門により近い内容の著書「セックスはなぜ楽しいか」長谷川寿一訳[購入] もお勧めです。我々が当然と感じている人間の性的特徴(月経周期が隠されているとか、受精を目的としないセックスを行うとか、ペア以外の個体から隠れてセックスするなど)が実は生物界の中では異端であることを示し、なぜヒトだけにそれらの特徴が見られるのか、進化生物学的な説明を試みます。下ネタ本感覚で読み進めているうちに、行動の進化に対する今の学問の基本的発想が身に付きます。

「外交官とその時代」シリーズ5部作岡崎久彦 [購入] [購入] [購入] [購入] [購入]
江戸時代末期から第二次大戦後の初頭までの日本外交史。各時代を代表する外交官の人生に着目して話を進めながらも、政治や社会状況の変化についても詳しく触れており、日本近代史を学ぶ上でも最適なシリーズだと思います。相当な大著なので読破するには骨が折れますが、日本人なら是非読んでおいて欲しい。命がけで国家に尽くした多くの先人の苦闘の末に、今の日本の姿があることが分かります。著者は外務省で情報調査局長を務められた方で、これだけの見識のある人が外交の中枢に居たということに、そこはかとない安堵感を覚えました。

国家の品格 藤原正彦 [購入]
著者の意見には必ずしも全て賛同できるわけではありませんが、この種の本がベストセラーになる点に、日本社会の底力を感じます。数学者らしく明快で読みやすい文体も、好感度高いです。


Top↑

作文・プレゼンテーション

理科系の作文技術 木下是雄 [購入]
作文は、知的な仕事における最も基本的な活動です。きちんとした文章が書けることは、自分の意図をスムーズかつ正しく伝えるだけではなく、論理の構成や整理を行う上でも必須です。しかし、日本の国語教育ではいわゆるTechnical writingを教えていない事もあり、この最も重要な国語能力については自分で取得するしかありません。実際、旧帝大の大学院生が書いた文章などにも、まったく意味の解せない部位が散見されるのが現状です。本著は、日本語のTechnical writingを解説した数少ない文献で、職業的に作文を行う人にとって文系理系を問わず必読だと思います。ロングセラー。

理科系のための英文作法 −文章をなめらかにつなぐ四つの法則− 杉原厚吉 [購入]
分かりやすい文章を書くための法則は、言語の種類を問わないようです。本書は、日本人が英語論文を書く際の一般的な注意をまとめたものですが、同時に論理的かつ分かりやすい文章構成についての解説も行っています。これらは、英語論文を書く際にはもちろん、日本語の作文を行う上でも有効です。

「分かりやすい表現」の技術 −意図を正しく伝えるための16のルール− 藤沢晃治 [購入]
「分からない表現とはどのようなものか」について、簡潔かつ分かりやすい解説を行い、その解決法を提案する好著。2〜3時間で読み終わりますが、プレゼンテーションが悪いとよく指摘される人は、時間をおいて3回くらい読み返し、骨身に浸みさせると良いかもしれません。巻末に「そのプレゼンテーションは悪くないか?チェックリスト」が添付されてます。


Top↑

知人の書いた本

必ずしも愛読書ではありませんしオススメしているわけでもないのですが、いちおう義理人情ということで、私の知人が書いた本を紹介しておきます。

むしろ花園としての精神病棟 丸山めぐこ [購入]
駒場寮在住時代、なぜか僕の部屋に出入りしていた丸山さんが書かれた本。この人は極めて頭の回転の速い方なのですが、実は重度のソウウツ病でして、一度躁状態の時に渋谷ハチ公の上にまたがりって奇声を発し、そこをフライデーの読者投稿欄に掲載されてしまったという快挙を持っております。、、そういった特殊な日常を綴ったエッセイ集。

いぬのきもち 高倉はるか [購入]
大学教養学部時代の同級生で、動物行動学を専攻した獣医さんである、はるか様がご執筆されました。犬の思考パターンや、それに基づく躾のありかた、問題行動の治療方法について多くの具体例を出しながら解説されています。身内びいきではありませんが、良く書けていると思います。ちなみに著者は、フェリス女学院高校出身、学生時代は各種ミスコンを荒らし回った美貌の持ち主で、僕が大学時代に憧れていた人。こっ、今度は僕を躾て下さい、ワンワン。

花の性―その進化を探る 矢原徹一 [購入]
僕の大学院時代の指導教官が書かれた本で、著者の半生記。植物進化生態学者の研究風景や発想などを垣間見る事が出来ます。実は献本して頂いた本で、僕はお金を払ってませんので、悪口を書く資格はありません。

世界の中心で、愛をさけぶ 片山恭一 [購入]
大学院時代のバイト先の小さな塾にて、国語の先生をされていた片山さんの書かれた恋愛小説。「いやぁ、印税がぜんぶ子供の歯の矯正で消えちゃってさぁ」などと話していた方が、この小説でいきなり200万部ベストセラー作家に。その後、映画化もされました。でも、、、悪いけれど大人の読書に耐えうる小説ではないと思います。片山さんゴメンナサイ。







ホームへ戻る