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2016年春(JpGU大会セッション、幕張)


概要

「陸域生態系の物質循環」
http://www.jpgu.org/meeting_2016/session_list/detail/A-CG22.html
日時:2016年5月25日
場所:幕張メッセ
主コンビーナ:加藤知道(北大農)
副コンビーナ:平野高司(北大農)、佐藤永(海洋研究開発機構)、平田竜一(国立環境研)

内容(告知文)

陸域生態系の水・炭素・窒素を初めとする物質循環は、地球の気候に大きな影響を与えている。それらを把握するために、生物量調査、安定同位体比測定、渦相関法・チャンバー法を初めとする地上観測や、リモートセンシング、シミュレーション、メタデータ解析などの様々な手法が開発され、植物バイオマス・温室効果ガスフラックスや、森林火災・大気汚染の生態系への影響などの各種の現象を多角的にとらえる努力がなされている。
 たとえば、JapanFluxでは、微量気体(CO2やメタン)と水蒸気のフラックスに関連した観測をベースとしているが、モデラー・リモートセンシングの研究者などとの協働研究も展開している。また、統合的陸域圏研究会は、陸域生物圏のモデルシミュレーションを中心としているが、大気・海洋などの他圏の研究者間において情報交換や研究協力関係の構築を行ってきた。
 本セッションは、このように手法を特定せず、水・炭素・窒素・その他物質の循環における陸域生態系の役割に関する研究発表を広く歓迎する。なお、本セッションは、昨年度のA-CG30「陸域生態系における水・炭素・窒素などの循環に関する研究」を引き継ぐものである。

発表者とタイトル

口頭:

Ikawa Hiroki(代理:小林 秀樹) Understory CO2, sensible heat, and latent heat fluxes in a black spruce forest in interior Alaska
梁乃申  土壌呼吸チャンバーネットワークを用いたアジア陸域生態系におけるCH4 フラックス測定の展開
北山あさみ 13Cパルスラベリング実験を用いたモンゴル森林域におけるシベリアカラマツの樹体内炭素転流と配分量の推定
林健太郎 [招待] 異なる窒素施肥条件におけるイネの収量・バイオマスおよび炭素・窒素含量の高CO2応答:つくばみらいFACE実験の洞察
永井信   東南アジア島嶼部における森林伐採の年々変動の地図化
高木健太郎  航空機反復LiDAR測量による10年間の森林炭素変化量の評価
辻本克斗  冷温帯林における光合成機能の鉛直分布とその季節変化
野田響   冷温帯落葉広葉樹林における個葉の分光特性と群落反射特性の季節変動
薗部礼   ハイパースペクトルデータを用いたキサントフィルサイクルのエポキシ化率の評価
小林秀樹 [招待] 太陽光励起クロロフィル蛍光のシミュレーションと衛星SIFデータとの比較解析
水落裕樹  衛星データフュージョンとVI-Ts法によるナミビア季節湿地における高時空間分解能の蒸発散量推定
伊勢武史  データ同化による陸上生態系モデルの最適化: 粒子フィルタのフレキシビリティ
堅田元喜  大気汚染下での葉の濡れが及ぼす森林炭素循環への影響
市井和仁  経験的広域化手法による大気−陸域間の熱・物質循環の広域推定手法の現状と応用
渥美和幸  簡略な植生モデルによる植物生産力の年々変動の評価
伊藤昭彦  陸域生態系の温室効果ガス収支に関する統合評価モデル

ポスター:

飯田真一  複数の手法によるスギの樹液流速の通年計測と問題点
小出大   北海道のアカエゾマツにおけるモデルを用いた樹木年輪の生長フェノロジー解析
小谷亜由美 森林生態系の水・二酸化炭素交換における下層植生の役割
橋本昌司 [招待] 全球土壌炭素の分布に影響を与えるファクターの探索
寺本宗正  富士北麓カラマツ林における林床炭素収支の推定と変動要因
平田竜一  マレーシアサラワク州の3つの熱帯泥炭地における土壌CO2およびCH4フラックス観測の初期結果
平野高司  大規模撹乱後の植生遷移初期におけるCO2フラックスの変化
高橋善幸  カラマツ林でのCO2フラックス長期観測から見る撹乱影響
林真智   衛星ライダーによるシベリアの森林資源変化の把握
井手玲子  富士北麓カラマツ林における最近10年間のフェノロジーの変化と炭素収支量への影響
加藤知道  真瀬水田における太陽光誘発クロロフィル蛍光を利用した生態系光合成量の代表性

開催報告

今年の日本地球惑星科学連合大会においても、陸域生態系の物質循環に関するセッションを企画しました。
口頭16件、ポスター11件という多くの発表が行われ、9時から18時半までの長時間にわたって、活発な議論が展開されました。
口頭発表会場では立ち見が出るほど多くの方にご参加いただき、同日に行われた懇親会も盛況となりました。
我が国における陸域生態系関連研究者にとって、本セッションは、重要な情報交換と交流の場と成長している事が実感されました。

文責:佐藤永(副コンビーナ)


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