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2017年春(JpGU大会セッション、幕張)


概要

「陸域生態系の物質循環」
http://www.jpgu.org/meeting_2017/session_list/detail/A-CG47.html
日時:2017年5月25日
場所:幕張メッセ
主コンビーナ:加藤知道(北大農)
副コンビーナ:平野高司(北大農)、佐藤永(海洋研究開発機構)、平田竜一(国立環境研)

内容(告知文)

陸域生態系の水・炭素・窒素を初めとする物質循環は、地球の気候に大きな影響を与えている。それらを把握するために、生物量調査、安定同位体比測定、渦相関法・チャンバー法を初めとする地上観測や、リモートセンシング、シミュレーション、メタデータ解析などの様々な手法が開発され、植物バイオマス・温室効果ガスフラックスや、森林火災・大気汚染の生態系への影響などの各種の現象を多角的にとらえる努力がなされている。
たとえば、JapanFluxでは、微量気体(CO2やメタン)と水蒸気のフラックスに関連した観測をベースとしているが、モデラー・リモートセンシングの研究者などとの協働研究も展開している。また、統合的陸域圏研究会では、大気境界層から土壌内わたる物理的・生物的諸過程の理解に向けて、様々な分野の研究者間における情報交換や研究協力関係の構築を行ってきた。 本セッションは、このように分野や手法を特定せず、水・炭素・窒素・その他物質の循環における陸域生態系の役割に関する研究発表を広く歓迎する。なお、本セッションは、昨年度のA-CG22(タイトル同じ)を引き継ぐものである。

発表者とタイトル

※口頭発表に2件、キャンセルが出たため、大会web siteに掲載されているプログラムとは完全に対応しません

口頭:

寺本宗正   富士北麓カラマツ林の林床炭素収支に対する間伐の影響
清水貴範   カンボジアの低地乾燥常緑林における乱流フラックスの季節−年々変動特性
松本有貴   傾度法を用いた温帯二次林におけるメタン交換量の連続測定
薗部礼    分光反射特性を用いたリーフケールでの光合成能力評価
大手信人 [招待]   Effects of extreme events on nitrogen export from forested ecosystems: a review
秋津朋子   Do you still use the constant ratio of PAR to solar radiation for global studies?
水落裕樹   Satellite-based analysis of the land cover change effect on evapotranspiration over semi-arid seasonal wetlands
佐藤永    Topographic controls on the abundance of Siberian larch forest
宮本裕美子  北東シベリア永久凍土地における土壌炭素量の推定および温室効果ガス排出量の予測
酒井佑槙   Analysis of the relationship between the GPP and SIF from remote sensing data using theoretical model
渥美和幸   気候データに起因する総一次生産力評価のサイトレベルでの不確実性
荒木田葉月  シベリアの複数地点における動的植生モデルSEIB-DGVMへのMODIS LAIのデータ同化
伊勢武史   人工衛星観測ビッグデータをシミュレーションに取り込む:データ同化を用いた植物フェノロジー予測モデルの最適化
羽島知洋   炭素・窒素循環を有する地球システムモデルの開発

ポスター:

矢崎友嗣   異なる撹乱履歴を有する森林における土壌呼吸量
平田竜一   マレーシアサラワク州の熱帯泥炭林における土壌CO2およびCH4フラックス観測
杉谷健一郎 [招待]   Carbon and nitrogen isotopic features of the bivalve Corbicura japonica and Corbicura leana in the Harai River (Mie Prefecture, central Japan) - preliminary report
菅原広史   都市内緑地における炭素収支
中坪稔    東シベリアのカラマツ蒸散と森林蒸発散の時間変動への凍土活動層の温度・水分条件の影響
飯田真一   Artificial sap flow measured by heat field deformation and heat ratio methods in the laboratory
高橋善幸   CO2フラックス長期観測から見るカラマツ林での人為撹乱影響
大曽根陽子  スギ・ヒノキの生理特性データベースの整備から見えてきたもの
辻本克斗   冷温帯林ミズナラ林冠葉における光合成機能とクロロフィル蛍光の季節変化
加藤知道   冷温帯落葉広葉林における太陽光誘起クロロフィル蛍光の層別上下方向の観測
WU LAN   Simulation of the forest dynamics and material cycle after typhoon disturbance using the Spatially Explicit Individual-Based Dynamics Global Vegetation Model (SEIB-DGVM)
鳥山淳平   Bayesian calibration of a process-based model for estimating the growth of Japanese cedar plantations

開催報告

今年も、口頭14件、ポスター12件という多くの発表が行われ、9時から18時半までの長時間にわたって、活発な議論が展開されました。また、同日に行われた懇親会も盛況となりました。大学院への進学率が低下している昨今、毎年安定した数の要旨が集まり、しかも新たな若手研究者が発表に加わって下さることに、安心する次第です。
なお、今年の日本地球惑星科学連合(JpGU)大会は、初めて、アメリカ地球物理学連合(AGU)との合同大会として開催されるということで、国際色豊かなものとなりました。通常のJpGU大会では日本語で発表が行われますが、このような事情で、今年は多くのセッションが英語で行われました。このような国際化が重要であることは論を待ちませんが、しかし、現状において多くの日本人研究者は、それなりに複雑な内容を活発に議論するだけの英語力に自信が無いことも確かです。そこで我々のセッションとしては、この合同大会に対応するため、3コマに分けて開催される口頭発表のうち、1コマのみを英語での発表として割り当てました。また、日本語で発表された方でも、資料を英語で作成された方も多く見受けられました。

文責:佐藤永(副コンビーナ)


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