劇団 :The GAZIRA
作・演出 :鐘下辰男
演出 :
美術 :
出演 :南果歩、七瀬なつみ、久保酎吉、大鷹明良
上演会場・日時 :ザ・スズナリ (2003年7月27日)
何も用事の無い日曜日だったし、7月末にしては爽やかな天気にも誘われ、ふらっと下北沢まで行って来ました。 予約していなかったので当日券を買ったのだけど、なかなか人気のある公演だったらしく、通常席は既に満席。 それで久しぶりの通路席となってしまいました。 通路席というのは、文字通り客席の通路に座布団を敷いただけの席。 しばしば人気のある公演で設置される席なのだけど、なにしろこれが出されると通路が埋まってしまうため、たとえ公演中に気分が悪くなっても、または膀胱が破裂しそうになっても、席から脱出することが出来ない。 なので、芝居前には決して紅茶など利尿作用の強い飲み物を取ってはいけない、というのが僕の経験から導き出された鉄則である。
さて、本日の芝居のテーマは「修羅場」。 日航ジャンボ機墜落事件を題材にした話で、事故から数年後が舞台。 簡単に話を紹介すると、事故を起こす便を偶然キャンセルして難を逃れた男は、生き残ったことに罪悪感を抱き続け、そのせいか仕事もうまく行っていない。 で、その妻は、夫の意味不明な罪悪感に対する苛立ちと、事故後に生まれた障害児の世話に追われる日々等々に切れまくりの精神状態。 さらにここへ、事故で夫を失った女が絡まってきて、それで不倫話も加わってややこしくなって、あとは延々と憎悪、怒号、罵声、混沌、てな感じ。 、、日曜日の爽やかな気分もぶちこわしだ。
実際に起きた事件を題材にしてはいるものの、要するに表現されているのは、発狂寸前のギリギリの精神状態。 それで、そういう芝居は演出や役者が下手だと単に騒々しいだけなのだけど、この舞台ではそのどちらも良くできていて、客席では泣いている女の子とかいるし、僕も芝居を観て初めて吐き気をもよおしたりと、劇場の雰囲気は殆ど自己啓発セミナー(行ったこと無いけど)。 演出・役者の点で一流の舞台である事は認めるけれど、僕はもう二度と見たいとは思わない。
この日は、3週間近く続いた公演の最終日。 ということはあの人達、こんな芝居をリハーサルも含めて一ヶ月前後も続けていたのか。 それでよく頭がおかしくならないものだ、と妙な感心をした。 特に七瀬姐さんのキレ方が実に迫力満点だったのだけど、あれは演技などではなく、地なんじゃないのかなぁ。 あとでパンフの写真見たら、この人は結構な美人なんですね(女優だから当たり前か)。 でもいくら美人でも、この手の女と結婚でもしてしまった日には、残りの人生は地獄の毎日だと思う。 マゾな人には、夢のような日々かもしれないけれど。