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月蝕歌劇団


 十代中〜後半の若い女優を中心とする少女歌劇に、寺山修司の影響をまともに受けた猟奇性とサブカルチャーの雰囲気ただよう脚本に演出。一言で説明するならば、「暗黒ブルセラ少女歌劇団」といったところでしょうか? ‥というわけで、この劇団の客層には、よその劇団の公演では絶対に見かけない、ロリコンアニメオタク風の人々が高頻度で含まれるのが特徴となっています。

 私もブルセラは嫌いではなかったので、後援会組織である「エクリプスの会」に入会、そのチケット優先予約特典を活用して、毎回最前列で公演を観たものです。なお、舞台では血糊ががんがん飛んでくるので、前列三列目くらいまでの観客には、客席の端から端まである横に長いビニールシートが渡されます。そして公演中、「そろそろ来るぞ!」との予感と同時に、両脇の観客とシートを胸までたくし上げて血糊が服に付くのを防ぐのです。この「予感」が外れると、一人でシートを持ち上げようとして恥ずかしい思いをしたり、服に血糊がべったり付いたりするので(電車で帰る時、かなり気まずいです)、まさに前列の観客は舞台に釘付け。そのようなわけで、芝居の終わる頃には観客の間に説明しがたい連帯意識が生まれ、思わず隣に座っているロリコンアニメオタクの汗臭い肩を、「ぽんぽん」とたたいてやりたい衝動に駆られてしまいます。

 内輪ネタで恐縮ですが、この劇団を主宰する高取英氏は、私が以前在籍していた研究室の土肥先生にそっくりです。違うのは髪型くらいで、容姿、話し方、そして服の趣味まで本当によく似ています。九大大学院入学試験の面接で、初めて土肥先生にお会いした時、「あ、高取英だ」と思ってしまいました。





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