背景
虫媒花の寿命には、アサガオの数時間からランの数ヶ月まで、著しい多様性が存在する。 過去の研究から、この多様性のある程度は、「送受粉頻度」と「花の維持コスト」をパラメーターとする単純なモデルにより説明できることが明らかにされている。 すなわち、送受粉頻度の高い場合や花維持コストが高い場合に、花寿命は短くなる傾向にある。他方で花寿命は、自殖性の種で他殖性の種よりも短くなることも知られており、自殖率によっても影響を受けることが示唆されている。 Schoen & Ashman (1995)は、この現象を生じさせるメカニズムについて言及した。 それによると、自殖性の強い種ほど短期間で花の胚珠が全て受精され(つまり自殖種では、花の♀Fitness-accrual ratesが高くなる)、したがって受粉に必要な開花日数が短くなるとしている。
しかし自殖は様々な様式で生じる。 例えば遅延自動自家受粉という様式では、花が終わる寸前に自動自殖する。 このような自殖は♀Fitness-accrual ratesを高くすることはなく、上の説明は成り立たない。 それにも関わらず、遅延自殖を行う系統群でも、やはり花寿命−自殖率間に負の相関が見られる。
目的
どのような様式による自殖が起きるとき、どのような機構によって、花寿命−自殖率間に負の相関が進化するのか、理論的に明らかにする。資料
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