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タイ・カンボジア旅行記 2001

7月16日 (福岡→バンコク)

夜のバンコク

不在者投票も済ませたし、心おきなくバカンスに出発。 ちなみに比例区には、環境税の導入を主張している候補者(民主党)に入れてしまったのだけども、できれば自由党が躍進してくれて、日共・社民が壊滅してくれると嬉しいなぁ。 ファシスト志位と北鮮の族議員土井に怒りの鉄槌を。

帰国は30日。 本当はもう少し長く滞在したかったのだけど、年休を全部つかってもこれが限界でした。 僕の勤務先には、20年以上もマジでな〜んにも仕事をされておられないプロフェッショナルの税金泥棒も在籍しているので、少しくらいいいじゃないかという気もするのですが、後でパスポートの出入国記録のページをコピーして提出する必要があって、ゴマカシ効かないのです。 まあ給料を頂いてるのだから仕方がないのだけども、面倒臭い、、。

ともあれ、台北経由の中華航空は、定刻午後4時40分に到着。 非常に順調な旅立ちです。 これまでバンコクには6回渡航しているのですが、そのすべてが深夜着。 旅行者の多い時期だったりすると、ホテルを見つけるために汗だらだらで深夜のバンコクを彷徨うというのがパターンだったので、本当に雲泥の差。 中華航空は、アルコールの無料サービスがあるなど機内サービスも悪くないし、出回っている航空券も安かったりもするので、今後はもっと使ってみようと思います。

空港のカウンターで予約してもらったスクリンビット通りsoi7の「Miami hotel」なるボロ宿に荷物を降ろし、少しだるかったのでBTS(スカイトレイン)でタニア通り近くの按摩屋へ。  按摩屋など、バンコクだったらどこにでもあるのに、わざわざタニヤまで遠出したのは、この近くは日本人が多いので肩周りを丁寧に揉んでくれるから。 一般的にタイ式のマッサージというのは足が中心で、肩まわりはあまりやってくれないのです。 体が軽くなったところで、近くのパッポン通りまで歩き、お姉さんとお話ししながら軽く飲みました。 まあ初日はこんなもんでしょう。

7月17日 (バンコク滞在中)


昨晩泊まったホテルが、あまりにボロだったので、BTS国立競技場駅近くのRENOホテルに移動。 ここは昨年も泊まった所で、少々高いものの、ロケーションが便利なわりに静かな環境にあるので、定宿になりそうな気配。

航空券の予約を再確認した後、パンティーププラザで観光。 ここは、様々なコンピューターソフトの海賊版が山のように取り引きされている場所で、警察の手入れが入ったとも聞いていたものの全然相変わらずでした。 もちろん買ったら著作権に触れるし、第一税関で見つかったら没収されてしまうので、単なる観光だけに留める。

当局も、業者を年数人捕まえて外国への見せしめにしているだけで、どうやら本気で取り締まる気はないみたいですね。 まあタイ人の平均収入を考えると、いちいちOSからオリジナルを買っていたら、まともにコンピューターを使うためには、かなり大きな経済的負担がかかるわけで、きっと黙認しているんでしょう。 一種の南北問題かも。

ところで去年の3月にここへ来たときには、商品がすべて日本のエロゲー(海賊版)のみという、素晴らしくマニアックなお店があったのですが、今回は足を棒のようにしながら歩き回ってもついに見つける事が出来ませんでした。 エロVCDを売っていたお兄さんが多少英語を話せたので、商品を見せてもらうついでに尋ねてみたら、警察に摘発されてしまったとのこと。 普通のソフトのコピーは売っていても実質OKだけど、エロゲーは駄目だったようですね。 残念。 「それにしても、タイのエロゲーマニアはどうなってしまうのだ!」 などと要らぬ心配をしながら呆然としていると、そのお兄さんは素早く人を走らせて、どこからかエロゲーを10種類ほど持ってきてくれ、机の下でコソコソ見せてくれました。 どうやら全然出回っていないわけではないようです。 もちろん僕は買うわけにはいかないので直接関係はないのですが、タイのエロゲーオタクのことを考えると、少しホッとしました。

バンコク中央郵便局までバイクタクシーを走らせて、ブツを日本まで発送した後、按摩と飯を済ませ、ホテル近くのインターネットカフェで旅日記を執筆。 PCを持ち歩かなくても日記を編集できるのですから、便利な世の中ですねぇ。 ところでこのお店は、仕立て屋と雑貨屋のサイドビジネスでインターネットカフェを経営されているのですが、去年の3月にこの店でYシャツをオーダーメイドしたことを、インド系の経営者が覚えていてくれました。 一般的に外国人の顔なんて物は、全部同じに見えるものだと思うのですが、もの凄い記憶力。

7月18日 (バンコク→ポイペト)

ポイペト、国境付近

今日はカンボジアへの移動日。 モーチットバスターミナルからカンボジア国境の街アランヤプラテートまで高速バスで4時間。 渋滞にも会わず、道もよく整備されていて快適な移動でした。 アランヤプラテートには正午ころ到着したので、着いたバスターミナルで昼食をとることにし、ケーンをのせたご飯を注文。 運ばれてきた料理は、全体に唐辛子で真っ赤で、顔を近づけただけで涙が出てきそう。 恐る恐る一口食べてみると、瞬時に口の中のすべての感覚が麻痺してしまった。 こんなの補給が絶たれて餓死寸前のガダルカナル島日本軍守備隊でも、全部食べるのは無理だと思う。 ていうか、空きっ腹に詰め込んだら、胃痙攣起こして死んじゃうかも。 イサーン(タイ東北部)料理をバンコク辺りのタイ料理と同じように考えて、安易にオーダーした私のミスですね。 でも店の人の手前、全部残すのも悪いような気がしたので、なるべく舌に触れないよう口に含み、ペプシで無理矢理胃に流しこむ。 もしタイの田舎町に行かれる方がいましたら、こういう真似は絶対にしないように。 あとで猛烈に後悔することになりますよ。

辛さで鈍痛のする胃を押さえながら、トゥクトゥク(オート三輪車)で国境まで移動。 このアランヤプラテート−ポイペト間の国境は、地元民は自由に通過できるようで、タイ人と比べ明らかに身なりの粗末なクメール人たちがたむろしていて、なんだか異様な雰囲気。 ドキドキしながら三輪車を降りたその瞬間、邪悪なオーラを漂わせる3人組みの男達に取り囲まれていた! こいつらがまた、どいつもこいつも「俺達、元ポルポト派。内戦中は1人当たり30人は殺したかなぁ。もっともほとんど女子供だったから、たいしたことはないけどね」という感じの超凶悪な人相で、その顔を思いっきり近づけて、分けのわからない英語をまくしたててくる。 こっ怖い、、。 マジで恐いよママン。

三人組みは前・右後・左後のフォーメーションで私を取り囲むと、集まってくるストリートチルドレンをガンガン突き飛ばし道を切り開きながら(こうゆうことを平然とする奴は許せないですな)、「最初にそこに並べ!」「次にこの書類をかけ!」と次々と指示を出してくる。 まあチップ目当てなんだろうけど、重い荷物と胃の鈍痛をかかえて気合のぬけまくっていた私はそのまま言いなりで、もうカモネギ状態。 さらに国境をぬけた後も何やら話し掛けてくる。 どうやら「今日は俺達がこの街をガイドしてやるぜ!」といっているらしい。 でも君たちその語学力でガイドは無理でしょう。 断ると「マイフレンド!ここは危険な街だから俺達以外は信用するな!」などという実にナイスなジョークを飛ばしてきて絶好調である。 そういうセリフはその凶悪な顔を整形した後で言ってくださいね。 あっ、そんな金ないか。 というわけで小額のチップを渡すと、「サー、ワンダラーワンダラー」と食い下がってくる彼らを振り払いながら、「ラオ」と名乗る比較的まともな英語を操る男にガイドを頼む。

ところでこのカンボジア側の国境街ポイペトは、町全体がスラム状態で、住人の経済状態も栄養状態もとてつもなく悪そうなのに、同じ町中に立派なカジノや売春施設があったりして、なんというか実にいい雰囲気だ。 そして、チェックインしたホテルの机の引き出しに、バイアグラの使用説明書とコンドームの袋が捨ててあった(ちゃんと掃除しておけよ)。 なるほど、そういう街なんですね。 もう楽しくて楽しくてたまらない。 でも、このあたりから腹の具合が本格的に悪くなってきた。 昼頃食べたケーンが、十二指腸から小腸辺りまで移動したようである。 こうなると、もう吐くにも吐けない。 窓のない部屋で独り、ウンウン苦しんでいるとノックの音が。 ラオである。 夜のポイペト観光のアレンジをお願いしていたのだ。 「腹の調子が悪いので今日はよすよ。はい、これ一日のガイド料400Bね。サンキュー」。 呆然とした顔のラオ。 貰えるはずのリベートをふいにして悪かったね。 ドアを閉めようとすると「じゃ、じゃあ明日はどうする」と食い下がってきた。 これ以上こいつに関わっていると、こちらのスケジュール管理までされてしまいそうだ。 だから、「それはあなたに関わりの無い事です」と冷たく言って、まだ食い下がってくるラオの目の前でドアを閉める。

結局この日は、晩飯も口を通らず、部屋に按摩を呼んだだけで終わってしまった。 短い旅なので、食事はローリスクを心がけるべきであった。

7月19日 (ポイペト→シェムリアップ)

こんな街に住んでいたら、心も荒むよなぁ

朝、今度は下痢で苦しんでいると、ラオがやって来やがって「今日はどうする」と聞いてくる。 「腹の調子を見てから判断するから放っておいてくれ」と言ってもしつこく話しかけてくるので、面倒くさくなりドアを閉める。 1時間後、ドアのノックの音がするので開けると、またラオだ。 「とにかく、おまえはもう来るな!」とドアを閉めようとすると、「サー、食べ物を買いたいんだ、あと100B、100Bだけくれ」などと恥知らずなお願い。 ちなみにこの国では、昨日のガイド料400Bで米が50キロは買える。 というわけで日本語で汚い言葉を吐くと共に突き飛ばし、ドアを閉める。 しかし1時間後、またドアのノックが、、、、。 「殴る! 今度という今度は絶対ブン殴る!!」。 格闘になった場合に備えて靴をしっかりと履き、般若のような顔をしてドアをバァーンと叩き開ける。 すると、そこには昨日出しておいた僕の洗濯物を抱えた笑顔のお姉さんが。 たちまち笑顔の凍るお姉さん。。。 弁解しようにも、お姉さんは英語が分からないし、僕もクメール語は話せない。

ポイペトは人の心は荒れまくっているし、タイに近いだけあって物価も高めだし、そしてホテルのサービス係のお姉さんとも気まずくなってしまったので、シェムリアップに移動する事に決定。 まともに下痢気味で、腹が長距離の移動に耐えうるかどうか不安だったのだけど、下痢止めを多めに飲んでGO。

バイクタクシーで国境までいくと、シェムリアップまでのピックアップトラックはすぐに見つかった。 ピックアップトラックというのは、荷台付きの4輪駆動車を使った乗合バスのようなもの。 ちなみに定員は、助手席2名、後部座席4名、荷台には人と荷物が積めるだけ+α、さらに気合の入っている奴は助手席前のボンネットに腰掛けてしまう(危ないし、第一ケツが熱くないのかなぁ)。 日本の通勤電車も真っ青の最密充填だ。 道は殆どの区間で舗装されていたものの、それでも熱帯の炎天下の下を延々何時間も疾走するのだから、もう荷台の方々なんかは生き地獄だと思う。

まあ、1人当たり年間GNP260 US$の地元の方はしかたがないとしても、僕の稼ぎは彼らの稼ぎの100倍以上はあるだろうし、残念ながらマゾでもないので、自ら地獄に飛び込む必要は全然ない。 というわけで、二人分の料金を払うからと言って助手席に1人で座る権利を得た。 移動中チラチラ後を見ると、まさに地獄のただ中にいらっしゃる地元の方が、羨ましそうな恨めしそうな表情で時折こちらを見ているような気がする。 こういう素朴な草の根の交流って、後で大きく効いて来るんだよね。

シェムリアップは観光で潤っているようで、カンボジアにしては、人も穏やかな良い街でした。 ただ、観光の街なので物価は少々高いかな。 まあ、これもカンボジアにしてはだけど。

7月20日 (シェムリアップ滞在中)

どこかの遺跡、名前は忘れました

今日は朝から、アンコールワット遺跡群を観光。 実はアンコール遺跡というのは単一の遺跡ではなく、結構広いエリアに散らばった多くの寺院群から構成されているのです。 それで思っていたよりも大規模で、わざわざ見に来る価値はあると思いました。 こういうのが建造できるということは、クメール人の勤勉性とか創造性は結構イケてるってことなのだろう。 なのに何でこんな国になっちゃったんでしょうね?

それにしても、遺跡は熱帯の太陽光で思い切り熱くなっていて、その上を這い回るわけなので、汗ががんがん出てくる。 ミネラルウォーターを飲みながらの観光で、水が切れたら20分も我慢できないだろう。

そして、タケオ寺院の頂上に登りきったとき、ついに水が切れた! 水を売っている場所は、はるか眼下約200mである。 頂上には、屋根のある空間があって、涼しい風も抜けるし景色も良い。 あまり有名な寺院ではないのか観光客もいないので、すこし横になって休憩をしようと思っていたのだけど、水が無いなら降りるしかないよなぁ。 と、その時、この遺跡でガイドをしている少年(英語ペラペラ)と目が合った。 問答無用で呼び寄せ1$札を握らせる。 「お釣りは君にあげるから、これで水を買ってきなさい。でも安い水なんか買ってきちゃだめだよ。お兄さんが好きなブランドはこれなんだ(空きボトルを見せながら)。よく冷えたのを探して来るんだよ。さあ、行きたまえ!」。 この国で1$は結構な額なので、ダッシュで店に向かう少年。 そして10分後、滝のような汗を流しながら肩で息をする少年から、ミネラルウォーターを受け取る。 資本主義の威力を目の当たりにした瞬間だった。

一日歩き回った事が幸いしたのか、体調はほぼ完全に回復。 でも、なにぶん病気明けなので、晩飯は外国人旅行者向けの無難そうな食堂でとることにする。 メニューを眺めると、1$〜2$の料理が並ぶ中で、一つだけHappy Pizza herb, small 6.5$ large 8$、なる異様に高いピザがあるのを発見。 「なんだこれ、日本なみの値段じゃん。 しかもherbって、、?」。 研究者として、これは注文せずにはいられない。 はたして、給仕のお姉さんがニヤリとしながら運んできたピザは、いたって普通で、味も普通、食べても何も起こらない。 でもよく見ると、表面に茶緑色の粉末がかかっている。 ひょっとしたら体にいい漢方薬なんかが振りかけてあったのかなぁ。

ところが会計を済ませ、食後の腹ごなしに街を散歩していると、妙に聴覚が冴えてきて、そしてだんだん体が重くなってきた。 こっ、これは一体!?

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