今日は午前中を中心に、この辺りでは珍しい程の濃霧が続いた。 霧のたちこめる森の中で作業をしていると、沖を航行する大型船から断続的に汽笛が響いてきて、何やら幻想的な感じである。 でも、こんな霧の中を急に止まることも方向転換をすることもできない乗り物で航行している船員さんは、きっと怖い思いでいるのだろうなぁ。 フェリーも午前中運休。 島外の高校へ通学している学生さん(島内には小学校と中学校しかない)は、欠席せざるを得なかったはずです。 メインランドから航行20分の島とはいえ、それでも島なんだということを改めて感じ入りました。 夜中、体力と時間に余裕があったので、家の中の掃除をした。 何しろ埃まみれのモノが色々散らばっていて、外から疲れて帰ってきてもくつろげなかったし、それに少しハウスダスト症気味でもある。 昔からこの講座の方々には、少しでも空いたスペースを見つけると、テトリスのようにモノを詰め込みまくるという悪い習性がある。 美観とか空間の開放感を気にする感覚はないのだろうか? テトリスのようにゴソッとモノを消し去りたい衝動を押さえるのが大変だ。 荷物が邪魔で掃除機もかけられなかったので、手始めにそれらを適当な箱に詰め、使っていない部屋に押し込んでいった。 とにかく「何も捨てるな!」と厳命されているので、その辺に散らばっているゴミも一緒にパッキングしておく。 ザマーみやがれ。 奮闘の結果、まだまだ片づけや掃除をすべき箇所は残るものの、バングラデッシュのスラム街並だった生活環境が、バンコクの中華街程度には整いました。 朝:納豆、卵豆腐、茹でたホウレンソウにジャコを混ぜて酢で味付けしたもの |
昼過ぎから雨との予報が出ていたので、早起きして午前中に仕事を終えた。 昼ご飯を食べ終えた頃、珍しく予報通りに雨が降り始めた。 ちなみに天気予報が役に立ったのは、今回のフィールド調査では今日が初めて。 翌日の予報くらい、もう少し正確に出して欲しいものだ。 午後、苦労して担いできたのに殆ど日記執筆専用となっていたパソコンで仕事をする。 データも集まりだしてきたけど、ちょっとややこしい結果となった。 う〜む、これは論文になるのかなぁ? ともあれ、既に昨日あたりには時間のかかる野外作業があらかた終わり、そして家もやや奇麗になったので、やっと島暮らしを楽しめる状況となってきました。 かなり肌寒い日だったのだけど、窓を開けると港が見えて実に良い感じなので、窓を全開にして、お仕事や読書をのんびりと楽しむ。 雨の日に景色の良い部屋で1人過ごすというのも、なかなか贅沢なものです。 朝:納豆、卵豆腐、昨日の味噌汁の残り |
朝、トイレで額を強く打った。 この家の和式便所には、しゃがんだ時に丁度額や目が来る位置に、水槽のバルブが仕掛けられているのだ。 従ってこのトイレを使用する際には、尾籠な話で申し訳ないのだけども、ジョジョの戦闘ポーズの様な不自然な体勢で、スタンド、もとい雲古を出さなくてはならない。 「これはいつか誰か怪我をするな」と思っていたら、今朝僕が怪我をしました。 この家には他にも、階段の途中の頭や肩をぶつけそうな位置に神棚を造り付けてあったり、浴室内の水がまともにかかる所に電気コードの接続部が剥き出していたりと(これは自己融着テープとビニールテープを使って絶縁しました)、至る所にブービートラップが仕掛けられている。 たとえ家の中に居ても、一瞬の気の緩みが命取りだ。 朝:納豆、海苔、卵豆腐、ジャガイモと玉葱の味噌汁 |
今日も作業が早く終わったので、島いちばんの観光名所である穴観音へ行ってみることにした。 この穴観音というのは、海岸沿いの崖の自然洞に安置された観音像のことで、いつから祭られているのかは分からないものの、天暦年間(西暦947-957)には既に記録があるとのことだ。 観光名所とは言っても、崖の上から洞窟へ至る道はとんでもない悪路で、たぶん千年前から何も変わっていない。 おまけに昨日の雨でぬかるんでいたので、「ソールのすり減ったフィールドブーツなんかじゃ不安だなぁ」と思っていたら、案の定、滑って転んでズボンを泥まみれにしてしまった。 30m程の崖を下り、海岸沿いの岩場を300mほど這い進み、さらに5mほど登って洞窟の入口に到着。 この洞窟がまた、入口がほとんど垂直に下っていて、もちろん中も真っ暗闇なので、入るのが少しためらわれる(上写真参照)。 まあ、元々の観音像は今では別の場所に保存されているそうだし、このくらいの演出がなければ名所にならないのかもしれない。 据え付けてあった鎖にぶら下がるようにして穴の底まで降りると、横に空間が伸びている。 持参した懐中電灯をつけて、しゃがみながら移動してみると(天井は極めて低い)、内部は8〜10畳ほどの割と広い空間になっていて、いちばん奥まった場所に小さな観音像が1体、その左手に不動明王(たぶん)像が1体安置されていた。 いずれの像も、期待通り大したものではなかったです。 でもひょっとしたら御利益があるかも知らないので、「就職したい就職したい就職したい。 あぁ神様、私にポストを下さい!」と願いをかけておく。 |
一通り写真を撮った後、いざ帰ろうと穴からはい上がると、さっき通過した海岸沿いの岩場に潮が満ちてきていた(左写真参照)。 あと20分もノンビリしていたら、波を頭から被る覚悟をしない限り、通過できなくなっていただろう。 昔の人がわざわざこの場所に観音像を安置したのも、こんな風にちょっとしたスリルを味わうことが楽しかったのが理由かも知れない。 夜になって、学振受入OKとのメールが届いた。 早速ご利益の兆候か? まあ、2年も失業できるほどの貯金はないので、御利益だけに頼らずに、しっかりとした申請書を書くことにしよう。 |
朝:納豆、卵豆腐、おろし大根のジャコ混ぜ、梅干し、海苔
昼:ホットケーキ、牛乳、キウイ
晩:カレーうどん(βカロチン補給のため、人参1本分をピーラーで薄切りにしてぶち込みました)
早起きして作業を一気に片づける。 今日は福岡の某私大にて非常勤講師バイト(といっても生物実習の手伝い)の日なのである。 自宅に戻って昼食を取り、作業服を着替えると、都市高速を通って出勤だ。 バイト先は児童教育学部なので、女子学生の比率が極めて高く(多分80%以上)、その彼女たちの若々しい姿が、老人ばかりを見慣れた島帰りの僕の目に眩しい。 もし、大学の先生ではなく小学校の先生を志したならば、こういった大学で楽しい学生時代を過ごせたんだろうなぁ。 オタッキーな男子学生達に囲まれ過ごした我が学生時代を回顧すると、どうも進路の選択を誤ったような気がしてならない。
夕食を外ですませてから、久しぶりに研究室に顔を出すと、Functional Ecology誌へ投稿中だった論文がリジェクトされて戻っていた。 Reviewによると、「内容は新しいし、大きな問題もないようだけど、ウチの雑誌は理論が得意ではないので載せてあげない」と書いてある。 で、今後の対応について、共著者である矢原教授と話をする。
「あれっ、Evolution誌に投稿してたんじゃなかったけ?」
あの、Evolution誌は審査に時間がかかるし、この仕事は所詮小ネタなので載せて貰えるかどうかも不安だから、別の雑誌にしようって前に相談してたんですけど。
「ええっ、そうだった? だって、Functional Ecology誌に理論の仕事は載らないよ。」
「ほらほら(最新のFunctional Ecology誌を見せながら)、Editor Bordに理論の人なんていないんだよ。 だから、こんな論文を載せてくれるわけないじゃん。 Functional Ecology? うひゃ〜、そりゃ完全なミスチョイスだよ!」
、、、、、、。 だってあなた
Date: Fri, 25 Jan 2002 13:06:14 +0900
Subject: 論文どうなりました?それから投稿雑誌なのですが、現在の所Functional Ecologyを考えています。
よろしいでしょうか?
もし異論がないようでしたら、投稿用に論文の体裁を整えようと思います。
ってメールで相談したら
Date: Fri, 25 Jan 2002 13:50:43 +0900
Subject: Re: 論文どうなりました?Evolutionよりレスポンスが早く、関連論文がよく載る雑誌なので、良い選択だと思います。
って返事をよこしたじゃない!!
久しぶりに矢原節を聞かせて頂き、頭がクラクラした。 僕の方にも、投稿する雑誌のEditor Bordを調べるという基本作業を怠っていた負い目はあるものの、少しムカッと来たので 「この一件は、後でホームページに書いてやるからな」と、ささやかな復讐を心に誓う。
朝:ホットケーキ、牛乳
昼:ほか弁
夜:ラーメン